Joeの精進記録

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グラフのSeparatorについて

A Separator Theorem for Planar GraphsOn Sparse Graphs with Dense Long Pathsを読む。

ちょっとずつまとめていく。

On Sparse Graphs with Dense Long Paths

論文の主定理は以下の通り

どんな n頂点を取り除いても長さ nのPathが残るようなDAGの辺数を mとし、 f(n) = \min mとすると

 c_1 n\log n / \log \log n \lt f(n) \lt c_2 n \log n

が成り立つ。

Corollary

どんな n頂点を削除しても、 n本の辺を含む連結成分が存在するような無向グラフが m辺をもつとし、 f(n) = \min mとすると、

 f(x) \lt c_2 n

が成り立つ。 n本の辺を含む連結成分、の部分は大きさ nの連結成分、に置き換えてもよい(定数は変わるが)

任意の \varepsilon \lt 0について、ある定数 cが存在し、任意の nについて O({}_{{}_{(2 + \varepsilon)n}C_2}C_{cn})個のグラフを除いた (2 + \varepsilon)n頂点 cn辺のグラフは、どんな n頂点を取り除いたとしても、大きさ n以上の連結成分が残る。

Related Theoremで主定理を使うかと思ったけどとくに関係なかった。確率的な議論をして証明している。

要は、辺のオーダーが頂点の定数倍であるようなSparseなグラフでもいいSeparatorが存在するとは限りませんよ、という話。

A Separator Theorem for Planar Graphs

Separtorという概念は平面グラフに限らず、グラフに一般的なもので、たとえば二分木はある一辺をseparatorとして、残りの成分がすべて2/3以下のコストをもつようにすることができる。一般の木は一頂点をseparatorとして同様のことができる。

上の論文でも触れたとおり、一般のsparseなグラフに関していつも o(n)のseparatorが存在するかと言われるとそうではない。

この論文では平面グラフで O(\sqrt n)のseparatorが存在することを示している。全域木をとって、全域木に含まれない辺を1本追加したときにできるサイクルで、サイクルの内側と外側を両方コスト2/3以下にするようなサイクルが存在することを示している。

いろいろなパターンに場合分けして示している感じ。実は平面グラフよりも広いクラスについても適用可能で、finite element graphとよばれる、平面グラフの平面への埋め込みを考えたときに、各面について、可能な対角線をすべて引いてcliqueを作ったものに関しても似たようなことをやっている(オーダーは O(\sqrt n)ではなく kをboundary vertexの上限として O(k\sqrt n)なので別に任意のグラフについて O(\sqrt n)という主張にはなっていなそう)

構築も O(n)アルゴリズムがあるが、実装やばそう(リストを用いた平面グラフを埋め込むためのデータ構造などがあるっぽい)